小規模企業共済に加入

先日、融資を受けた大信(大東京信用組合)で小規模企業共済への加入を申込んできたのですが、その加入手続きが完了したお知らせが届きました。

この共済への加入した理由としては、このご時世退職金等がしっかりと貰える企業に長年勤めている場合なんかは別として、自分の退職後の備えは自分自身で何とかしなきゃいかんな。と何となく考えている今日この頃ですが、自分の場合、個人事業主としてやってるので少しでも使えるものは使っておきたいしリスク管理はしておくべきだと。

FP2級の勉強しているときにこの仕組みを知ったのですが、この制度は使わない手はないと判断しました。

小規模企業共済とは

この共済制度、知れば知るほどかなりお得な制度です。もちろん無条件でお得という訳でもないのですが、デメリットを差し引いても余りある有効な制度だと思います。

ざっくりというと、小規模企業の個人事業主が廃業や退任した場合の他、小規模企業の役員が辞めたり退任した場合などに、その後の生活の安定や事業の再建などを図る資金をあらかじめ準備しておくことができる国が作った安心でお得な制度です。

創業間もない起業家や中小の経営者は自社で退職金制度を整備できない場合もあるし、個人事業主は自分に退職金を支給できないのでこの制度を上手く活用する人も多いようです。

利用する側としてはシンプルな仕組みで、自分で設定した掛金を廃業時や老後のために積み立てておくものです。似た制度として確定拠出年金(個人型)や養老保険などの終身年金保険がありますね。

小規模企業共済の何がお得なのか

大きな特徴としては4点。

1点目

まずは何といってもその節税効果です。掛金は月1,000円~70,000円の範囲内で自由に設定できる訳ですが、この積立金ともいえる掛金の全額が所得控除になります。

2点目

定年後などに廃業・退任した場合、その後の生活の備えとなる退職金(共済金)になる点。

退職金扱いになるということは「退職所得」として、加入期間に応じた控除額が適用されますし、分割で受ける場合は公的年金と同じように公的年金等控除額が適用されるため、「事業所得」に比べると税負担が大幅に軽くなります。

大幅に軽くなる理由として

「事業所得」の場合:収益―費用=所得
「退職所得」の場合:(退職金―控除額)×1/2=所得

「退職所得」の方には「控除額」や「×1/2」があるので、課税対象となる所得が大幅に小さくなって税負担が軽くなるという訳です。
ちなみに、この共済制度には満期・満額といった概念がないため自分が退職や廃業したら受取が可能となります。

3点目

資金繰りに困ったときの資金調達の手段になる。

加入者には「契約者貸付制度」が存在するため、資金に困った場合に積み立てている金額の範囲内で共済から資金を借りることができます。

例えば、月5万円を5年間積み立てていれば、5万円×12ケ月×5万円=300万円までを借入れることができます。

4点目

掛金納付期間に応じ最大で120%の相当額が戻ってくること。

小規模企業共済のしおりへリンク (中小機構HPより)

掛金月額1万円を20年間納付した場合に得られる共済金Aだと、約1.16倍程にしかなっていません。

2,786,400円―2,400,000円=386,400円のお得。

一方で30年間納付した場合になると約1.2倍になることが分かります。

4,348,000円―3,600,000円=748,000円のお得。

※共済金ABとは
それぞれ共済事由に応じて区別
Aの場合:個人事業の廃止・個人事業主の死亡・会社などの解散 等
Bの場合:老齢給付(65歳以上で180ケ月以上掛金を納付した方に限る)・会社等役員の疾病、負傷、65歳以上での退任・会社等役員の死亡 等

おトクな点がふたつ。の意味

ここだけを見て、『30年間も掛けてなんだ1.2倍にしかならんのか』と思ったら甘いです。1点目にあるようにこの制度の最大のメリットは節税効果であるため、この共済金プラスそれまでの期間(30年間)の節税額を考えなければいけません。

例えば、課税される平均所得金額が400万円あるAさんが、月々1万円の掛金を30年間納付した場合。

36,500円(1年間の節税額)×30年=1,095,000円もの金額が節税。

そして掛金合計額=3,600,000円(1万円×12ケ月×30年間)

共済金Aの事由に当てはまり4,348,000円を受取る場合
4,348,000円(受取額)-3,600,000円(納付額)=748,000円がお得。

合わせて1,843,000円(1,095,000円+748,000円)もの金額がお得に。

この辺がおトクな点がふたつと言われるゆえんかと思います。

掛金を更に増やせば、よりお得になることは言うまでもありません。詳しくは中小機構HP「加入シュミレーション」でご自身の節税額をご確認いただけます。

小規模企業共済のデメリット

ここまでメリットばかりいってきましたが、デメリットも当然あります。何といっても最大のデメリットは「元本割れのリスクがある」ことです。

運営団体である「独立行政法人中小企業基盤整備機構」のHPでも掛金納付月数が240ケ月(20年未満)の場合は元本割れとなることが明記されています。。
加入後数年で解約した場合には「節税効果 < 元本割れの金額」となってしまう場合が多いようなので、任意で解約する場合には慎重な検討も必要です。

その他の小規模企業共済の特徴

  • 共済金を受け取るという権利(受給権)は差押えが禁止されており、将来の安心にも。
  • 「掛止め」といって、所得が低く納付が困難な場合、事故や心身の故障時などには一定期間(6カ月~12ヵ月)停止することが可能。
  • 掛金は自身の収入の中から納付するものなので、事業上の損金または必要経費にはできません。

創業したらすぐに加入を検討すべき

小規模企業共済はその名の通り、小規模な個人事業主や法人の役員等が加入することができます。

前述の通り、20年という納付期間を経て最大の利益を受けることが可能なので、加入者の年齢によっては慎重な検討が必要ですが、その点をクリアにすればかなりお得な制度であることは間違いありません。

小規模企業共済制度の加入要件

加入要件は以下のようになってます。

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人の士業法人の社員

※会社等の役員とは、次の方をいいます。(外国法人の役員は除く)

①株式会社、有限会社の取締役又は監査役の方

②合名会社、合資会社、合同会社の業務執行社員の方

 

以上となります。

自分はとりあえず月1.5万円の掛金にしました。

 

 

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About the author

伊藤真吾
伊藤真吾
・Certified Administrative Procedures Specialist(行政書士)
・Immigration lawyer(入国管理局申請取次届出)
・Certified Skilled Worker of Financial Planning(2級FP技能士)
・Personal Information Protection Professional(個人情報保護士)
IT業界で10年間コーディネーターとして幅広く業務を担当。
2016年これまでに得た経験を活かすため行政書士に転身。
その後1年間の下積みを経て行政書士伊藤真吾事務所を開設。
趣味は、深夜の一人映画館と断捨離とバイク。家は小遣い制。
【Affiliation】
日本行政書士会連合会 登録番号 第16081519号
東京都行政書士会   会員番号 第11086号
【Other qualifications】
調理師免許
大型自動車免許
中型自動二輪免許

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